院内誌まほろば90号

表紙

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「串本町橋杭岩の達磨朝日」

 

 

 橋杭岩は、鬮野川小字橋杭の海岸から紀伊大島方面へ大小約40の岩が南西一列に連続しています。およそ850メートルにわたって直線上に岩が立ち並ぶ姿が橋の杭のように見えることから橋杭岩と呼ばれています。
 吉野熊野国立公園に属し、国の名勝や国の天然記念物の指定も受け観光名所となっています。橋杭岩を通して見る朝日はとても美しく、日本の朝日百選の認定も受けており、太平洋から昇る朝日は、時にだるま型へと形を変えます。 

撮影 リハビリテーション 武田 将直


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「子供の冬の感染症」

小児科医師 南 博明

 小児科で冬季に多く見られる感染症は、成人でもお馴染みのインフルエンザやRSウイルス(RSV)感染症になります。
インフルエンザの発生は、毎年11月下旬頃から始まり、翌年の1~3月頃に患者数が増加し、4~5月にかけて減少していくパターンが多いです。流行の前半ではA型インフルエンザ、後半ではB型インフルエンザが多くなります。症状は成人と同様に発熱、上気道炎症状、倦怠感などの症状が見られますが、小児においては有熱期間の異常行動(治療薬使用の有無に関係ありません)や急激に意識障害や痙攣などの症状を呈するインフルエンザ脳症に注意する必要があります。治療は対症療法で良いのですが、抗インフルエンザ薬を使用する事が出来ます。また、小児科医がアスピリンやジクロフェナクといった解熱鎮痛薬を処方する事はまずありませんが、これらの薬剤はインフルエンザ罹患児に Reye 症候群のリスクがありますので避ける必要があります。
 RSV感染症は例年11~翌1月に流行が見られる感染症ですが、昨年と今年は8月に流行のピークがありました。症状は乳児~1歳児の低年齢児では発熱や咳症状に加え、喘鳴を伴う細気管支炎や肺炎を起こして重症化する事がありますが、年齢を経るにつれ重症化しにくくなります。RSV感染症に対しては対症療法しかありませんが、哺乳・食事摂取困難や努力呼吸が見られる場合は入院して輸液や酸素投与を行います。


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「小児の風邪薬について」のお話

薬剤師 筒井 梨奈

 子供はよく風邪を引きます。風邪を引いた時、解熱剤などを使用することがあります。今回は使用上の注意や服用の仕方について紹介をさせていただきます。
 風邪を引くと発熱、鼻水、咳などの症状が出現します。発熱はウイルスや細菌の増殖を抑制し、鼻水や咳はこれらを体内から追い出す働きがあります。そのため、こういった症状を薬で抑えることは、必ずしも良いとは限りません。
 解熱剤は高熱が出たらすぐに使用するものと思われている方が多くおられます。しかし、ぐったりしていて息づかいが荒い、食欲がなく水分も取れない場合などを除けば使用しなくても大丈夫なことが多いのです。もちろん、厳密に使用基準が決まっているわけではありませんので、医師の指示に従い、子供の状態をよく観察したうえで本当に必要かどうか判断することが大切です。
 咳については、コンコンと出る乾いた咳は抑えても大丈夫ですが、痰が絡む湿性の咳は異物を体外へ出す防御反応のため、無理に抑えない方が良いと言われています。
 また、風邪の原因のほとんどはウイルスです。抗生剤は細菌には効果がありますが、ウイルスには効果がありません。
 近年の小児用薬は香りが加えられたり、苦みが軽減され、服用しやすいものが多くなっています。しかし、量が多い場合や、服薬を拒否している時には服薬補助ゼリーの利用が有効と思われます。それは、薬の作用や吸収に影響を与えず、のどにも詰まりにくいように工夫をしてあるからです。味も何種類かあり、例えば苦味が強い抗生剤にはチョコレート味を使うと良いそうです。
 子供に薬を飲ませるのに苦労している方、試してみてはいかがですか?


「腸が健康を保つ!?」

管理栄養士 尾田 香

 腸の役割というと、食べ物の消化・吸収を思い浮かべますが、実はそれだけではありません。寒い時期は風邪やインフルエンザなど感染症が流行しますが、細菌やウイルスなどの外部からの敵を撃退してくれる免疫細胞は腸に半数以上集まっていると言われています。私たちの腸内には約1000種類、100兆個もの細菌がすんでおり、腸内細菌の総重量は健康人で1.5~2kg程度あります。腸内常在菌の種類は個人差が大きく年齢や食生活で変化しますが過去の抗菌薬の使用でも影響します。
 元気な腸内環境をつくるには、お通じをよくして体内の有害物質を排出し、腸内の善玉菌を増やすこと。そのためには、毎日の食生活が重要です。腸内環境を整えるヨーグルト等の発酵食品には乳酸菌やビフィズス菌等が含まれおり摂取する事で腸内環境を改善してくれます。言わば派遣社員の様な存在のこれらの菌は腸内に定着しない「通過菌」である事がわかっており有益な効果を望むのであれば、定期的に摂取し続ける必要があります。また腸内細菌の餌となる食物繊維やオリゴ糖も腸内環境を維持するために積極的にとりたいものです。
 冬は夏と違って汗をかく機会が減るので飲水量が減る傾向にあります。冬場は意識して水分摂取し、喉の乾燥や便秘を防ぐ事も大切です。


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「サルコペニア」

リハビリテーション科
理学療法士 細川 彰子

 

 サルコペニアという言葉を聞いたことがありますか?最近高齢者の予防分野ではフレイルとともによく使われるキーワードです。「筋肉量の低下」、「筋力の低下」、「身体能力の低下」が診断基準となります。いわゆる「筋力低下」のことを指します。
 高齢者のことか…と思っている方関係大ありです。人間は40歳前後から徐々に筋力量は減少し、その傾向は加齢に伴って加速化します。つまり他人事ではなく自分事なのです。最近何もないところで躓く、立ち上がる時に「よっこいしょ」と掛け声がでる方、サルコペニアかもしれません。サルコペニアになると転倒を繰り返し寝たきりになるリスクが増える可能性が考えられます。図のようなテストや40㎝の高さの椅子から腕組みをした状態で片足で立てるかなど簡単にわかる方法がありますので是非試してみてください。
 サルコペニアを予防するためには「食事」と「運動」が重要になってきます。食事はタンパク質、ロイシン、ビタミンDを摂るようにします。補助食品もあるので運動後30分位で摂取できるとより効果的です。運動では有酸素運動やスロートレーニングなどの筋力練習が有効となります。運動量が少なくなる冬の時期ですがテレビを見ながら、家事をしながらスクワットや腹筋運動、ステップ体操などアプリやネット画像なども駆使し今より少しでも多くの運動を取り入れてみませんか。

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