
泌尿器科疾患のなかでも前立腺がん、前立腺肥大症などの前立腺疾患は増加傾向です。
泌尿器科では、専門外来として前立腺外来を開設しています。
前立腺外来は平成18年7月に中和病院泌尿器科の専門外来の一つとして、毎週金曜日(14:30〜16:00)に開設されました。
その背景には、前立腺(PSA)検診による前立腺がんの急増、今上天皇をはじめとする有名人の前立腺がんの罹患およびマスメディアの啓蒙、啓発が考えられます。
当院においても前立腺疾患(肥大症・がん)は増加の一途をたどり、前立腺関連手術・検査は年間150例にもおよび、早期発見による前立腺全摘症例は年間20例以上と増加しています。
また、前立腺がんの治療法には手術、放射線療法、ホルモン療法および化学療法など多岐にわたっており、患者さんの年齢・体力・合併症、QOLおよび社会的適応等と疾病側の侵達度(stage)および悪性度(Gleason score)との兼ね合いも考慮しなければならず、個々の患者さんに合った治療を目指すには、十分なインフォームド・コンセントを必要とします。
さらに、最近ではインターネットやマスメディアによる医療情報が溢れ、高度な専門知識から民間療法まで十分な説明を希望される患者さんも増加しています。
20世紀後半から医療におけるパターナリズムに対する批判、脱却が唱えられるようになり、患者さんの自己決定の自由と権利が見直されるにいたってこのような特化したゆとりある診療の場やインフォームド・コンセントの十分な時間を設けることは、医療の原点に立ちかえるよき機会と思われます。