主な取り扱い疾患と主な検査(女性泌尿器科)

主な取り扱い疾患

尿失禁

●腹圧性尿失禁
…せきやくしゃみをしたときに尿が漏れる状態を言います。
 <治療法>
  1.骨盤底筋体操
      骨盤底筋を体操で鍛えることで腹圧性尿失禁の症状の改善が期待できます。
       ①からだの力を抜いて、リラックスしましょう。
       ②肛門と膣を締め、締めたままの状態で「1・2・3…」とゆっくり5まで数えます。
       ③5まで数えたらゆっくりと力を抜きます。
       ※テレビを見ながらなど、空き時間を利用して続けることが大事です。
       体操の効果が現れるまで6~8週間かかります。止めると元の状態に戻りますので、症状が良くなっても
   続けてください。3ヶ月続けても改善が見られない場合は、一度受診することお勧めします。

    2.薬物療法
    軽症の場合は薬物療法で改善することがあります。

    3.手術
        術式  :TOT手術(Transobturator Tape)、TVT手術(Tension Free Vaginal Tape)
        手術時間 :約30分
        方法  :①全身麻酔または腰椎麻酔科で砕石位をとります。
                   ②膣壁を約2cm切開してテープを置くスペースをつくります。
                   ③大腿の付け根の辺りを針で穿刺し、テープを通します。
                   ④テープの強さを調整します。
                   ⑤膣壁を縫合します。
        入院期間  :約3~4日
                     手術前日に入院します。
                     術後1日目に尿道に留置したカテーテルを抜き、ご自身で排尿してもらいます。
                             うまく排尿できるようであれば、術後2日目に退院となります。
          ※手術は水曜日に行っています。
        合併症 :①出血・血腫
                   ②膀胱穿孔  … カテーテルの留置期間が長くなります。
                   ③テープ露出 … テープの除去が必要となることがあります。
                   ④テープ感染 … テープの除去が必要となることがあります。
                   ⑤尿閉    … テープが強かったり、尿道がはれることによって、尿が出にくくなることがあります。
                 術後しばらく導尿が必要となったり、尿閉が続く場合はテープを切断して調整する必要が
                 あります。
                   ⑥術後切迫性尿失禁、頻尿 
               … 術後に頻尿になったり、トイレに間に合わず尿が漏れることがあります。自然と軽快する
                 こともありますが、軽快しない場合は薬物療法を行うことがあります。
                   ⑦尿路感染症 … 抗生剤で治療します。
                   ⑧術後、大腿の付け根の辺りに痛みやしびれが続く場合があります。


●切迫性尿失禁
…急にトイレに行きたくなって、我慢できずに尿が漏れる状態をいい、薬物療法が中心となります。
尿がもれていなくても、急に尿がしたくなり、我慢が難しいことが週に1回以上であれば過活動膀胱の可能性があります。薬物療法で改善することも多いので、一度ご相談下さい。
過活動膀胱症状について気になる方はこちらのチェックシートをご覧ください。


●混合性尿失禁
…腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の要素を持つ尿失禁をいい、どちらの要素が強いかにより治療が異なります。


●間質性膀胱炎
…膀胱の間質という部分が何らかの機序で硬くなったり、炎症を起こしたりすると、蓄尿時に膀胱、下腹部、会陰部に痛みがあったり、血尿が出ます。

        治療 :①薬物療法
        ②生活改善・行動療法
        ③手術療法(膀胱水圧拡張術)
        手術 :膀胱水圧拡張術
        手術時間 :約30分
        手術方法 :腰椎麻酔下で全ての処置を行います。
          ①砕石位をとります。
          ②膀胱内に潰瘍があれば、潰瘍を焼灼します。
          ③圧を計りながら膀胱内に水を注入していき、膀胱を拡張していきます。
          ④尿道にカテーテルを留置して終了します。
        入院期間 :手術前日から入院します。
         術後1日目尿道カテーテルを抜きます。
         術後2日目には退院できます。
         ※手術は水曜日に行っています。
        合併症 :①血尿 … しばらくすれば軽快します。万が一軽快しない場合は処置が必要となることが                                      あります。
             ②膀胱穿孔 … カテーテル留置で軽快することがほとんどですが、万が一軽快しない場合は                                        開腹手術が必要となることがあります。
             ③尿路感染症 … 抗生剤で治療します。
             ④膀胱痛が一時的に悪化することがあります。次第に軽快します。


●骨盤臓器脱(女性泌尿器科)

 骨盤の中には尿道、膀胱、膣、子宮、直腸が存在しており、これらを骨盤臓器と呼びます。骨盤臓器は互いにバランスを取り合い、周りの筋肉、筋膜、靭帯などに支えられています。 このバランスが崩れたり周りの支える力が弱くなると膣壁を押し出し膣の出口の方へ骨盤臓器が下がってきます。体外に出てくることもあり、これを骨盤臓器脱といいます。
膀胱瘤  : お腹側にある膣の壁とともに膀胱が下がってくる。
直腸瘤  : 背中側にある膣の壁とともに直腸が下がってくる。
子宮脱  : 子宮が膣の中に下がってくる。
膣断端脱 : 子宮を取った後に膣の壁が下がってくる。 同時に複数の臓器が下がってくることもあります。
症状   : お腹の張り、不快感、何かが触れる、何かが挟まっているような感じ。尿が出にくい、残便感などがあります。
治療   : 症状の程度、年齢、生活などに合わせて選択します。
       ①骨盤底筋体操  : 初期の方に有効であり、予防としても効果があります。
                  緩んでしまった骨盤の筋肉を鍛える体操です。
       ②ペッサリー   : リング状の装具で膣内に入れて下がってきた臓器を支えます。syashin2
                  自分での着脱も可能で、スタッフが指導いたします。 
                  必要な時間帯(例えば仕事中のみなど)だけ、自分でペッサリー
                  を膣内に挿入し、不必要な時は自分で取り出す方法です。取り出
                  したペッサリーは水道水で洗い、自然乾燥しておきます。そうす
                  ることにより、ペッサリーが落ちてしまったとしても、自分で挿入可能であるため、慌
                  てて診察に来てもらう必要もなくなります。
                  また、ペッサリーを留置すると帯下(おりもの)が増えることがありますが、就寝中
                  や、不要な時に外すことにより防ぐ事が出来ます。
                  最初はできないとおっしゃった方や、ご高齢の方でも一日の指導でほとんどの方がマス
                  ターできます。怖がらずにトライしましょう。

       ③薬物療法    : 骨盤臓器脱を治すのではなく、乾燥や痛みを和らげるなど
                  症状の緩和を図る治療です。
       ④フェミクッション: クッション、ホルダー、サポーターを組み合わせてお使いいただくものです。
                  体内に入れる事なく下着の様に見えるデザインです。
                  ペッサリーが適さない方などに最適です。
       ⑤手術      : ①メッシュを使用した手術 弱っている膣の壁をメッシュで補強し、
                  ハンモックのように下がった臓器を支える方法です。
                  詳細はこちらを参照して下さい。            
                  ②膣の閉鎖 膣の前後の壁を縫い合わせて、そこから下には臓器
                  が落ちないように する方法です。

                  当院では、骨盤臓器脱手術は泌尿器科と婦人科が合同で行っているのが特徴です。
                  どちらを受診すべきかわからない、などありましたらお電話でご相談下さい。
                  手術は、水曜日に行っております。

主な検査

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尿流量測定
…尿の勢いや排尿が終わるまでにかかる時間から、普段の排尿状態を調べる検査です。できるだけ膀胱に尿をためた状態で トイレに行ってもらいます。女性外来にあるトイレで測定可能です。操作の説明はスタッフが行います。


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残尿測定
…排尿後、膀胱内に尿が残っていないか、どの程度の尿が残っているか調べます。ゼリーをつけて、お腹の上から機械を当てるだけの簡単な検査です。


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膀胱鏡検査
…金属製の筒を尿道口から約5cm挿入し、膀胱内を観察する検査です。膀胱炎や膀胱表面の腫瘍、膀胱結石、間質性膀胱炎などを診ることができます。検診で尿潜血を指摘された、血尿が出た、などの症状がある方は膀胱鏡で膀胱を観察する必要があります。時間は1~2分程度で、挿入時に少し痛みがあることもありますが、怖い検査ではありません。不安がある方はご相談下さい。


鎖膀胱造影検査
…尿道に細いチェーンを留置し、膀胱に造影剤を注入して膀胱と尿道の角度を測り、膀胱と尿道の形態を調べる検査です。膀胱瘤や尿失禁に対して行う検査です。


膀胱造影検査・排尿時膀胱造影検査
…尿道から管を挿入し膀胱に造影剤を注入して、膀胱の形態や、排尿時の膀胱の形態、尿管の逆流の有無などを調べる検査です。尿路感染症を繰り返す場合などに行います。


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尿流動態検査
…膀胱や尿道内の圧力を測定し、機能に異常がないか調べます。排尿障害や頻尿、切迫性尿失禁などの患者に対して行われます。
<方法>
①検査着に着替えます。
②寝台に横になり、尿道と肛門から細い管を入れ、肛門の周囲と太ももに3か所電極を張ります。
③ベッドサイドの便座に移動します。
④膀胱内に生理食塩水を少量ずつ注入し、蓄尿時と排尿時の膀胱の圧力を測定します。検査時間は1時間程度です。

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初診 午前 8:30~11:30
再診 午前 8:00~11:30
※各科、曜日によって受付時間が異なります。事前にご確認ください。

休診日

日曜日・祝日 第2・4 土曜日
創立記念日 5月30日
年末年始 12月29日〜1月3日

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