院内誌まほろば85号

表紙

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「藤原京 蓮」

 

 

  藤原宮跡蓮ゾーンには蓮池が3つあり、一重や八重、大きさや色の様々な11種類の蓮を植栽しています。鉢植えではなく露地栽培をおこなっているため、水温が高くなりにくく、7月下旬から8月中旬に見ごろを迎えます。
 蓮の花は、明け方に開き、昼前に閉じることを3日間繰り返して、4日目に散ります。葉の上を転がる水滴はまるで玉のように見え、この様子を詠んだ平安時代の和歌もあります。

撮影 診療情報室 岡田 真一


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「プライマリケアって何」

総合診療科 医師 大住 周司

  前回の続きです。Ⅰ.近接性は、「かかりやすさ」で、地理的経済的時間的精神的に足を運びやすい地域の医療機関であること。Ⅱ.包括性は、日常的な問題について性別や年齢、臓器にとらわれることなく診察をおこない、またワクチン接種をはじめ、疾患前段階に予防的な取り組みを行い、さらに日常的な障害に対してリハビリや生活支援などよりよく生活するための介入を行い、疾病や障害とうまく付き合っていくことを考えるのも重要な視点となります。とはいえ、地域の中でそれぞれの医師が個別にすべてを実践することには限界があります。ニーズに応えるためにはネットワークを広げることで幅広い視点からの協力が必要となり、「協調性」が求められます。Ⅲ.協調性は、チーム医療を展開することに始まり、他の医療機関と連携したり社会資源をバランスよく用いることや、地域住民と協力して健康問題に取り組んでいくことなど幅広い概念を含んだものと言えます。Ⅳ.責任性はプライマリケアに限ったことでないですが、十分な説明、医療内容の質の維持や見直し、プライマリケアに関わる医療者の生涯教育や、プライマリケアの現場に出る医療者の後進育成についても責任をもって実践していくことが求められます。このような視点に立ち、医療・福祉・介護・保健を提供し続けていくこと、つまりⅤ.「継続性」がプライマリケアの根幹をなす部分だと考えます。途中でやめられたらみんな困るからね。


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「更年期障害における漢方薬」のお話

薬剤師 野坂 梨奈

  女性の生涯において、成熟期から老年期に移る一時期のことを更年期と呼び、一般的に50歳前後で閉経を迎えることから、45-55歳くらいの時期を指します。卵巣機能が衰え、エストロゲンの分泌が低下することで、顔のほてり、手足の冷え、倦怠感、イライラ、不眠などの様々な不調が現れます。治療には女性ホルモン剤、抗不安薬等も用いられますが、今回は漢方薬についてご紹介します。
 例として2つの漢方薬「当帰芍薬散」「加味逍遙散」を挙げます。両者共通の作用として血行を良くする働きがあります。漢方では血の異常を瘀血(血流停滞)、血虚(血の不足)という概念で捉えています。
 当帰芍薬散は、血行を良くして体を温め、冷えを解消するとともに、利尿作用により余分な水分を体外に排出する働きもあります。貧血や冷え性、むくみに対して効果を発揮します。
 加味逍遙散は、血行を良くする一方で、のぼせなどの上半身の熱を冷ます働きをします。逍遥というのはぶらぶら歩くという意味があり、気分の落ち込みや頭が重い、イライラなどの検査上では異常がない、いわゆる不定愁訴にも効果があります。
 漢方薬はいくつかの生薬が配合されており、複数の症状に対して効果があります。長い歴史の中で最大限の効果を発揮し、尚且つ副作用を最小限に留める組み合わせが考えられてきました。自身の体質や症状に合ったものを見つけられると良いですね。


「疲労回復」

管理栄養士 尾田 香

  現代人は子どもから大人まで何らかの疲労を感じているといわれています。ひとくちに「疲れている」といっても肩こりなどの筋肉疲労から、全身倦怠感・やる気が出ないなどの精神的な疲労感までその症状は様々です。
 疲れが慢性疲労になる前に十分な休養と睡眠をとる事が大切です。
 疲れた時には甘いものが欲しくなります。仕事の合間にちょっと甘いものは気分転換になりますし、ホッと一息疲れもとれる気がします。甘いものは「体の疲れ」ではなく「頭の疲れ」にとても効果的です。
 過労にはビタミンA・C・E・ポリフェノール等の抗酸化成分を含む野菜・果物・大豆製品・緑茶などの植物性食品をしっかり摂りましょう。筋肉疲労の場合は、エネルギー源の補給とエネルギー代謝に必要なビタミンB群を含んだ食品(肉類・魚介類・大豆製品)を一緒に摂る事が大切です。
 ストレスが多いと交感神経ばかりが働いていつも固い体になってしまいます。固い体では流れも悪く、せっかくの栄養が十分に吸収されないだけでなく要らないものも体から出にくくなります。ゆっくりお風呂に入ったり、ストレッチや軽い運動をして日頃からこまめに体をほぐしておきましょう。


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「五十肩」

リハビリテーション科
作業療法士 細川 公佑

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 五十肩とは、中年以降に加齢的退行性変化を基盤として、緩やかな肩の痛みで発症し徐々に痛みが強くなり、次第に肩の拘縮に至るものをいいます。
 江戸時代につくられた俗語辞典では、「凡、人50歳ばかりの時、手腕、骨節痛むことあり、程過れば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。また、長命病という」と書かれています。
 江戸時代では、薬を使わずに治ると言われていたそうです。
 今回は、そんな五十肩による肩関節拘縮予防の一つとして、振り子運動をご紹介します。
 図のように、痛む側の手に500mlのペットボトルやアイロンを持ちます。痛くない側の手で椅子や机を持ち、少し前かがみになります。そして、無理のない回数をゆっくりと「前後」「左右」「円を描く」運動を行います。ポイントは、振り子のように動かすことです。痛みが強い時は、手に何も持たず行ってみてください。
 このように、肩関節を動かすことによって五十肩の拘縮予防につながります。
 肩の痛みに悩んでいる方は、ぜひ試してください。

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