院内誌まほろば79号

表紙

「当 麻 寺」

奈良県葛城市

 

 当麻寺は7世紀創建の寺院で、西方極楽浄土の様子を表した中将姫の蓮糸曼荼羅(当麻曼荼羅)の伝説で知られていますが、奈良時代-平安時代初期建立の2基の三重塔(東塔・西塔)があり、近世以前建立の東西両塔が残る日本唯一の寺としても知られています。
 創建時の本尊は弥勒仏ですが、現在信仰の中心となっているのは当麻曼荼羅で、宗派は高野山真言宗と浄土宗の並立となっています。     毎年5月14日に行われる練供養会式には多くの見物客が集まり、大和七福八宝めぐり(三輪明神、長谷寺、信貴山朝護孫子寺、當麻寺中之坊、安倍文 殊院、おふさ観音、談山神社、久米寺)の一つに数えられています。

撮影 リハビリテーション科 山本 成敏


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「 TVM手術 」

泌尿器科医長 松下 千枝

 骨盤臓器脱という病気をご存知ですか?女性の骨盤の中には子宮、膀胱、直腸などの臓器がつまっています。その臓器が、出産などで緩んでしまった膣の中に落ち込み、膣壁を押し出す形で体外に脱出してしまう病気が骨盤臓器脱です。
 脱出している臓器によって子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤などの名称に分かれています。骨盤臓器脱の治療法といえば、子宮を摘出する、伸びてしまった膣壁を縫い 縮める、などが行われていましたが、もともと伸びてしまっている組織を利用した手術のため、再発率が高いという問題点がありました。
 その問題を解決すべく2006年にフランスで開発されたのが、感染に強いポリプロピレン製のメッシュシートを用いて骨盤臓器脱を修復する、TVM(Tension free vaginal mesh)手術です。
 約5cm四方のメッシュシートを膣と臓器の間に挿入し、そのシートについた4本の脚を骨盤内の強固な組織に通して固定することで骨盤臓器脱を整復しま す。開腹の必要がないため侵襲が少なく、再発率も低いため、TVM手術は日本中にまたたくまに拡がりました。
 しかし、メッシュ特有の合併症(メッシュ露出、疼痛、性交時痛など)もあるため、手術の利点・欠点を十分にご理解いただいたうえでの手術が望ましいで しょう。とはいえ、想像してみてください、股の間に常にピンポン玉を挟んだ状態で過ごす毎日を。
 骨盤臓器脱を抱えて生きることは不快なことです。1人で悩まないで、ぜひ泌尿器科や産婦人科の門をたたいてください。


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「 骨粗鬆症の薬の話 」

薬剤師 野阪 梨奈

 骨粗鬆症は骨の中のカルシウムが減り、脆くなってわずかな衝撃でも骨折しやすくなる病気です。特に女性に多いと言われていますが、年齢や遺伝、生活習慣、他の病気の影響なども発症の要因となっています。
 治療薬は主に3種類に分類されます。
 ①腸管からのカルシウム吸収を促進する薬→ビタミンD3製剤(アルファカルシドール)
  ②新しい骨を作るのを手助けする薬→ヒト副甲状腺ホルモン製剤(テリボン)
  ③骨のカルシウムが血中に溶けだすのを防ぐ薬→ビスホスホネート製剤(ボノテオ)のように分類されています。
 中でもビスホスホネート製剤は骨粗鬆症治療の中心的な薬となっています。内服では薬剤により1日1回のもの、月に1回のものがあります。このような薬剤 を主治医と相談の上、自分の生活スタイルに合わせて選択することができるなど、利点の多い薬ですが服用する上での注意点もあります。薬の吸収が食事の影響 を受けやすいので空腹時に服用すること、消化管への副作用防止のために服用してから30分は横にならない、まれに顎骨壊死(顎の骨が溶ける)を起こすこと があるので歯科受診の際には服用している旨を伝えること、などがあります。    また、注射薬では医療機関で投与するものとして月1回投与のビスホスホネート製剤(ボンビバ静注)や、週1回投与の副甲状腺ホルモン製剤(テリボン 皮下注)などがあります。自宅でできる自己注射キットとしては1日1回投与のフォルテオ皮下注が発売されています。
 昨年、プラリア皮下注(モノクローナル抗体製剤)が新たに発売されましたが、この薬は半年に1回の注射で済みます。
 今回紹介した薬以外にも数多くの薬が発売されています。それぞれの薬の特徴を知った上で個々の症状に合わせた薬の選択ができると良いですね。


「醤 油」

管理栄養士 尾田 香

 日本食が世界遺産に登録された事もあり日本独自の調味料『醤油』について話します。
 醤油の生産が初めて行われたのは関西で、濃口醤油は和歌山の湯浅、薄口醤油は兵庫県の龍野で生まれました。江戸時代までは関西で作られた醤油を「下り醤 油」といって関東では高く評価されていたようです。現在醤油を一番生産しているのはキッコーマン本社がある千葉県で和歌山湯浅から海を渡り醤油醸造技術が 伝わったと言われています。
 日本で流通している醤油は5つに大別され、濃口・薄口・溜・白・再仕込みがあります。シェアの約80%が濃口醤油で占めています。醤油は日本国内で消費 されるだけでなくアメリカや中国など世界100カ国以上に輸出されています。生活習慣病予防で日本食が注目される中、醤油は万能調味料として世界の食文化 と融合しています。
 醤油の原料は大豆・小麦・塩ですが数多くの微生物の働きで発酵され、独特の香り・旨み・色が生まれます。最近出来るだけ美味しく醤油を使えるように、酸 化し難いパッケージの商品も発売されています。また高血圧等で食塩の摂取量が制限される方向けに減塩醤油やうす塩醤油も多く出回っています。減塩醤油は一 般的な濃口醤油に比べ塩分が半分程度に抑えられており、健康志向から使用量も伸びています。
 醤油は日本の食生活では空気のような存在で気にせず使っていますが、上手に使い素材を生かした美味しい食事を摂っていきたいものです。


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「 骨盤底筋群トレーニング 」

リハビリテーション科
理学療法士 山本 成敏

 

 みなさん「骨盤底筋群」をご存知ですか?それは骨盤の底で膀胱や子宮などが下がらないようにハンモックの様に支えている筋肉や靭帯の総称です。   妊娠や出産、肥満、便秘、加齢、ホルモンバランスの崩れなどにより、骨盤底筋群の収縮する力が弱まると、尿道が十分に締まらなくなってしまいます。そ こに咳やくしゃみ、運動などでお腹に力がかかると、尿が漏れてしまいます。これを「腹圧性尿失禁」といいます。
 また骨盤底筋群の衰えは骨盤の歪み、ボディラインの崩れを生じさせ、スタイルの悪化を招くと言われています。
 身体の“縁の下の力持ち”と言ったところでしょうか。
 そこで今回はリラックスしながら行える骨盤底筋群トレーニングをご紹介します。先ほど挙げたトラブルを改善できることが医学的に証明されています。
『座って行う骨盤底筋群トレーニング』
  坐骨が真っ直ぐに立つようなイメージで背筋を伸ばして腰をかけ、股の間にクッションか丸めたバスタオルを挟みます。そのまま臍の下あたりを意識してゆっく りと腹式呼吸(息を吸うときにお腹が膨らむように)を行います。太ももの内側に力を入れ、5秒間息を吸いながら膣を上に締めます。(男性は肛門を閉めるよ うなイメージ)そのまま止めて5秒キープしたら、5秒間息を吐きながら力を抜いてゆるめます。これを繰り返して行いましょう。仰向けに寝て同じことを行っ ても良いです。一日3分が目安です。
 骨盤底筋群は、20代からすでに衰え始めていると言われています。これから出産を経験される方、スタイルが気になる方にとって骨盤底筋群のトレーニングは効果的です。
 今回紹介したトレーニング以外にも方法は数多くあります。本屋さん、インターネットなどを参考にしてみて下さい。

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