院内誌まほろば77号

表紙

「夏 の 鹿 寄 せ」

奈良市春日大社境内飛火野

 

 春日大社境内飛火野で、奈良の風物詩「鹿寄せ」が行われます。
1892年(明治25年)、鹿園竣工奉告祭でラッパを使っておこなわれたのが始まりです。 本来、冬に行われる行事ですが、「夏の鹿寄せ」は特別に行われ、この春生まれたばかりの愛らしい子鹿たちを見ることができます。 ナチュラルホルンの音色に誘われて、森の奥から一斉に約100頭の鹿が群れを成して駆け寄り、 集まってきた鹿たちには、ごほうびの「どんぐり」が与えられます。 ちなみに、ホルンを吹く人は、「奈良のシカ」の保護活動をしている奈良の鹿愛護会の職員の方で、毎回変わるそうです。

撮影 診療情報室 岡田 真一


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おたふく難聴とワクチンの話

小児科部長 柴田 優

 流行性耳下腺炎はムンプスウィルスの感染により、とくに耳下腺が腫れて特徴的な顔貌をきたすことから、おたふくかぜと呼ばれています。日本では200万人 以上の患者さんが毎年発生します。症状から診断されることがほとんどですが、確定のために血液検査をすることもあります。ウィルスを積極的に排除する薬は なく、発熱や痛みに対する対症療法しかありません。
 通常1週間程で治癒しますが、髄膜炎、膵炎、精巣炎、卵巣炎など合併症を伴うことがあります。その中で、最も注意すべき合併症に難聴があります。おたふ く難聴はウイルスが内耳に感染することにより生じ、おたふくかぜに罹った1,000人のうち1人に発症します。結構な頻度といえます。おたふくかぜによる 難聴は高度で治療への反応も不良です。また一側性難聴があっても年少児は自覚せず、周囲の大人も気がつかないため、しばしば発見が遅れます。年長児で発見 された難聴のかなりの部分はおたふくかぜが原因と考えられています。このような後遺症を残さぬためワクチン接種が望まれます。ワクチンの有効率は高く1回 の接種でも90{9f0086af905448c381b83378330f50850af0c89f33679dab7e710a3cb6764f81}以上の予防効果があります。1歳過ぎで集団生活をする前に接種することが期待されます。おたふくワクチンは多くの国で定期接種になってい ますが、残念ながら日本は任意接種で公費の助成がありません。しかし合併症を予防するため是非とも接種していただきたいワクチンです。早期の定期接種化が 望まれます。


糖尿病治療薬
「 SGLT2阻害薬 」について

薬剤師 松本 理加

 

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 糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が基本です。それでも血糖コントロールができない場合に薬物療法が行われます。
 これまでの経口糖尿病薬は、①インスリンの分泌を促す②インスリンの働きをよくする③腸管からの糖の吸収を遅らせるなどの働きをもつ薬が主流でしたが、 2009年末に、新しい作用機序をもつDPP-4阻害薬が発売されました。この薬は、食事に伴い消化管から分泌され、膵臓からのインスリンの分泌を促進さ せるホルモン「インクレチン」の効果を高める薬です。食後に血糖値が上昇した時だけ働くため、単独で使用した場合は低血糖を起こしにくいと言われていま す。
 そして、2014年4月さらに違った作用機序をもつSGLT2阻害薬が発売になりました。この薬は、腎臓内の糖を再吸収する部位である「SGLT(ナト リウム・グルコース共輸送体)2」の機能を抑えることで、余分な糖の再吸収を抑制し、糖の尿中排出を促進させる薬です。このため、尿に含まれる糖の量は増 えるものの血糖値は降下し、高血糖の状態は改善されます。また、血糖が使われずに体の外に出て行くため、体重減少作用もあります。
 この薬の副作用は十分にはわかっていませんが、尿糖が増えることから、尿路や生殖器の感染症や、浸透圧利尿での脱水に注意が必要です。
 SGLT2阻害薬は、現在、当院ではまだ採用されていませんが、糖尿病治療薬は確実に進歩しているといえます。


「茄子」

管理栄養士 尾田 香

 今回は身近な野菜、『茄子』についてお話します。茄子と言えば、初夢の縁起物「一富士、二鷹、三茄子」。言われは諸説ありますが、富士は日本一の山、鷹は 賢くて強い鳥、なすは事を「成す」からきているそうです。またお盆には、故人の霊魂がこの世とあの世を行き来するための乗り物を茄子で作る風習がありま す。茄子は歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いが込められ ているそうです。
 茄子は種類が多く、日本で概ね180種類を超えます。形も丸・卵形・細長と様々。関西では「賀茂ナス」・「泉州水ナス」が有名です。奈良の伝統野菜には 「大和丸」という品種があり、肉質がしまっていて煮崩しにくく、田楽・煮物に最適です。
 茄子はインド原産で、野菜の中では珍しく紫色をしています。この色素は主にナスニンという抗酸化成分で活性酸素の働きを抑える効果が期待されます。  茄子は夏野菜のため、5℃以下の低温で長期保存すると低温障害になります。冷蔵庫で忘れていた茄子を切ると種子褐変しているのは低温障害で、栄養成分も低下しています。
 茄子は焼く、煮る、揚げる、炒める等あらゆる方法で調理でき重宝します。又淡白な味で他の食材とも合せやすく、油を良く吸収し相性が良いです。旬の時期には色々の料理で楽しんで下さい。


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「 肩こり 」

リハビリテーション科
理学療法士

 

 皆さんの中にも肩こりに悩み、肩の重さ・だるさを感じた事があるのではないでしょうか。
 そのような症状の原因は、生活習慣に伴う固定化した姿勢、筋緊張のアンバランス、不動による循環不全などがあると考えます。
 改善方法は、
①骨のアライメントを整える。
②筋のアンバランスを整える。
③首、肩、肩甲骨の運動をする。などが考えられます。
 家庭では、家族に後方から肩を揉んでもらい症状が改善していると思います。
 今回は、肩こりの症状が改善する可能性の一つとして、小胸筋を緩める方法を紹介します。
 小胸筋は、肩甲骨の烏口突起から第3~5肋骨に走行しており、その下を腕神経叢・動脈・静脈が鎖骨下から上腕に走行しています。
 なんらかの原因で小胸筋が硬くなると、下を走行している神経や血管を圧迫し、肩こりの症状がおきると考えます。 そこで、図のように小胸筋を優しくマッサージしてみてください。
 筋が柔軟になると、神経や血管の圧迫も軽減するので、肩こりが楽になるかもしれませんよ!一度試してみてはどうでしょうか。

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