院内誌まほろば69号

表紙

「紅一葉」

所在地 奈良県天理市柳本町

 

撮影/診療情報室 岡田 真一


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 認知症をきたす疾患は数多ありますが、中には手術や薬で治るものもあります。その中に正常圧水頭症(以下NPH)という疾患があります。  NPHにはくも膜下出血や髄膜炎の後に生じる二次性のもののほかに、原因不明の特発性のものもあります。いずれの場合も髄液の吸収・循環障害が脳実質の 障害をきたして、神経障害を引き起こします。  NPHの症状としては、記名力障害や思考緩慢などの認知機能障害、開脚歩行や小刻み歩行などの歩行障害、そして失禁がみられます。認知症、歩行障害、失 禁がNPHの三主徴です。  診断にはMRIやCTなどの画像診断が有用ですが、腰椎穿刺により髄液を排出して、症状の改善をみるタップテスト(髄液排除試験)も診断の決め手となり ます。  検査の結果NPHの可能性が高いとなれば、手術により症状が改善することがあります。手術としては脳室腹腔短絡術が有効です。これは脳室から髄液を皮下 のチューブを通して腹腔に排出し、腹膜から髄液を吸収させるというものです。全身麻酔で行う手術ですが、比較的侵襲の少ない手術です。この手術による症状 改善率は3年で80{9f0086af905448c381b83378330f50850af0c89f33679dab7e710a3cb6764f81}と言われています。  失禁や歩行障害、認知症はそれぞれが加齢による症状と思われがちですが、三主徴がすべてそろっていないNPHもあります。年齢のせいとあきらめずに、症 状にお困りの場合は、一度専門医の診断を受けてみてはいかがでしょうか。


 アルツハイマー型認知症(AD)とはどんな病気でしょうか? ADとは、何らかの原因で脳の神経細胞の働きが悪くなり、記憶 ・判断力といった知的機能や感情面に障害をきたすために、日常生活をうまく送れなくなってしまう病気です。  ADの治療薬は、2010年まではコリンエステラーゼ阻害薬であるアリセプトだけでしたが、2011年春に新しく3剤が、AD治療薬として承認されまし た。レミニール、イクセロンパッチ・リバスタッチパッチ、メマリーです。 レミニールとイクセロンパッチ・リバスタッチパッチはアリセプトと同じコリンエ ステラーゼ阻害薬ですが、メマリーだけは作用機序の異なるNMDA受容体拮抗薬になります。  NMDA受容体拮抗薬には、脳の神経細胞への過剰な刺激を妨げることにより情報伝達をよくするとともに、神経細胞を守る働きがあります。また、メマリー は認知機能悪化の抑制以外に、イライラ・焦燥感などの感情が不安定な状態や、易刺激性が高まっている場合(いわゆる虫の居所が悪い)にも使われます。  今回、新しく3剤が承認され、4剤のなかで使い分けや切り替え、またはメマリーとコリンエステラーゼ阻害薬との併用も可能となり、より有用な治療の提供 ができるようになりました。  AD治療薬とは、症状の進行を遅らせる薬です。変化がないように見えても、実際は症状の進行を遅らせていると考えられますので、自己判断で服用をやめた り、量を調節しないで、決められた量をのみ続けることが大切です。


 普段から日本人がよく食べる鮭は、老化予防にうってつけです。有効成分が豊富で、まず目をひくのは、アスタキサンチンという鮭の赤身の色素成分です。アス タキサンチンは活性酸素を除去し、細胞をサビ(酸化)から守ります。活性酸素とは酸素の一部が有毒になったもので、細胞やコレステロールを酸化させ、老化 や動脈硬化の原因になります。活性酸素は日常の活動で発生し、ストレスや紫外線、大気汚染も発生源と考えられています。アスタキサンチンはこの活性酸素を 除去する力がたいへん強いのです。
次に、鮭は各種ビタミン類も豊富です。疲労感や倦怠感を和らげるビタミンB1、血圧やコレステロールの値を下げる働きのあるビタミンB2、カルシウムの吸収をたすけるビタミンDなどです。
 また、EPA(エイコサペンタエン酸)や、DHA(ドコサヘキサエン酸)といった不飽和脂肪酸もたくさんあります。EPAは血管を広げて血液の流れを良 くする働きがあるので、動脈硬化や血栓予防に効果的です。DHAは脳の発達を助け、老人性痴呆症の予防にも効果的であるとされています。これらの成分と効 能から、鮭は細胞にも血管にも脳にも良い、理想的な魚と言えます。また、調理方法や食べ方にもさまざまなバリエーションがあり、手に入りやすいといった長 所もあります。
 さあ、秋鮭(あきあじ)の季節になりました。国産の天然ものをいただけたら最高ですね。美味しく健康的な秋を過ごしてください。


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 前回、ストレッチの種類を4種類ほど挙げましたが、それぞれについてもう少し詳しくお話しさせていただきます。
 まずバリスティックストレッチですが、これは反動を利用して筋肉を伸張する方法で、体育の授業などで行われた柔軟体操を思い浮かべていただいたらわかり やすいと思います。このストレッチはスポーツの前などにパフォーマンスを上げるためのウォーミングアップとして効果があると言われています。しかし程度に よっては筋肉や腱の損傷を引き起こす可能性があるとも言われていますので注意が必要です。
 次にスタティックストレッチについてですが、反動や弾みをつけずに筋をゆっくりと伸張するストレッチのことです。筋肉を伸張した状態で静止し、反動をつ けずに30~60秒程保持します。痛みを感じる手前で静止することが重要になってきます。
 3つ目にダイナミックストレッチについてです。これは伸張したい筋肉とは反対の筋肉を働かせて目的の筋肉を伸張させるやり方で、神経系のメカニズムを利 用しています。  最後にPNFストレッチですが、これは一人では出来ず、セラピストが行うストレッチで、抵抗運動を組み合わせたストレッチのことです。筋肉には強く力を 発揮した直後はリラックスする特性があり、この特性を利用しています。方法としては、伸ばしたい筋肉にセラピストが抵抗をかけ、その後ストレッチします。  単にストレッチと言ってもこのように種類があります。
詳しくはリハビリスタッフにお聞きください。

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