院内誌まほろば56号


表紙

「春日大社・砂ずりの藤」

 

 春日大社の砂ずりの藤は樹齢700年以上ともいわれる藤の古木で境内中央に藤棚があり、その藤の穂先が地面にすりそうなほど伸びるところから砂ずりの藤と 呼ばれるようになったようです。創建されたのは平城京のあった当時の768年に当時の左大臣であった藤原永手が称徳天皇の勅願を受けて建立した神社で、平 城京の守り神としての意味も持っていたとされています。当時から境内に自生していたとされる藤の花は当時の権力者である藤原氏が非常に気に入り、大切にさ れてきました。それは春日大社の社紋が藤をあしらったものであることからも伺えます。このうち砂ずりの藤として有名な藤は境内直会殿前に植えられている藤 の古木のことで、花房の長さが1m以上にもなると言われます。

 

撮影/医事課  岡田 真一


 新年度となり検診の時期がやってきました。放射線科で施行している検診やドックの腹部超音波では脂肪肝が増加していることから、今回は脂肪肝について取り上げてみます。
脂肪肝といえば、過剰飲酒による場合も多いのですが、飲酒量が少なく、ウィルスや自己免疫など肝障害の原因の明らかなものがないにも関わらず、脂肪肝を呈 する例が実は多く存在します。最近の研究でそのような脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患 nonalcoholicfattyliverdisease:NAFLD)の一部に肝硬変や肝癌に進行するものが含まれていることが明らかとなり、これ は非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholicsteatohepatitis:NASH)と呼ばれています。このNASHは中年以降に多 く.90%で肥満を伴い、25%程度で糖尿病、高脂血症、高血圧といったメタボリックシンドロームを合併すると言われています。日本人は欧米人に比して脂 肪組織内での脂肪を蓄えるキャパシティーが低いため、近年食文化の欧米化に伴い摂取された過剰な栄養がメタボリックシンドロームとそれに関連するNASH の増加の一因となっています。現在目本では100万人程度の患者数が想定されています。NAFLD、NASHの予防・治療は、第一に減量、すなわち運動と 食事療法と言われており、病態に応じて内服治療も施行されます。NASHの50%は進行性で10年間に20%が肝硬変まで進行するという報告もあり、 NASHにより肝臓癌を発症する症例も増加しています。たかが脂肪肝、されど脂肪肝。脂肪肝にはこのような疾患が隠れていることを忘れずに日々の診療・検 査にあたり、また、自己の健康管理もしていきたいものです。


 私達は日頃食事から、糖質、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂っています。その主な役割は、糖質はエネルギー源となります し、蛋白質は筋肉などのからだの構成成分、脂質はエネルギー源・細胞膜の構成成分、そして、ミネラル・ビタミンは身体の機能調節に必要不可欠です。しかし ながら、もし、病気などのために、食事を摂れない又は、摂る量が不十分な場合は、輸液による栄養投与、すなわち静脈栄養法が選択されます。静脈栄養には、 腕などの末梢静脈から投与する「末梢静脈栄養」と、心臓に近い太い血管の中心静脈から投与する「中心静脈栄養」があり、末梢静脈栄養法では、投与できるエ ネルギー量が1000kcal程度と上限があり、比較的栄養状態が良好で、経口摂取が不可能・不十分な期間が短期間(二週間程度)の患者さんに行われま す。一方、中心静脈栄養法では、投与できるエネルギー量が1200~2500kcalとなり、栄養状態の悪い、長期間経口摂取が不可能な患者さんに行われ ます。その為、この栄養法は完全な栄養補給でなければならず、当然五大栄養素が必要となってきます。糖質・アミノ酸・電解質の入った輸液(PNツイン・ト リパレン)を本体にして、そこに脂質(イントラファット)やミネラル(エレメンミック)を追加することで、からだに必要なすべての栄養素を静脈より補給で きるのです。ただし、ずっと中心静脈栄養のみでよいというわけではなく、なるべく早い時期に中心静脈栄養を離脱し、末梢静脈栄養や経腸栄養を併用しながら 経口栄養へと移行していくことが大切です。


 体が必要とする栄養素は約50種類以上もあり、これらのうち足りないものや摂りすぎるものが出てくると体の調子が悪くなってしまいます。本来ならば、毎日 の食事の中で食品を上手に組み合わせ栄養素を効率よくとることが大切ですが、偏った食生活、外食の多い人等はバランスをくずしてしまいがちです。サプリメ ントは、食品と医薬品の間に位置付けられる機能を持った食品です。ビタミンやミネラルを主成分とした栄養補充型サプリメントは、顆粒カプセル、タブレット 等手軽にとれる形状で食事だけでは不足しがちな栄養素を補給することを目的としています。例えば、外食料理で特に不足しがちなのは、ビタミンB群、C等で す。ビタミンB群は栄養素のエネルギー変換を促す作用があり、Cはストレスで乳酸が蓄積されるとより多く必要とされます。油料理が好きという入は脂肪の分 解、代謝を促すビタミンB2、血液中のコレステロールを下げる食物繊維をとるようにしましょう。お酒をよく飲む人はアルコールの代謝に必須のビタミン B1、肝細胞の働きを高めるビタミンB2,B12や抗酸化作用のあるビタミンCも大切です。また、たばこを1本吸う毎に体内のビタミンCが20mg以上破 壊されることをご存知でしょうか。しかしながら、サプリメントには効果、安全性、副作用等が確認されていないものもあるため①使用目的、②使用期間、③効 果の基準、④許容上限量、⑤費用等をチェックして正しく摂るようにして下さい。


 嚥下とは水分や食物を口に取り込み、のど・食道を経て胃へ送り込む運動であり、このいずれかに異常が起こることを嚥下障害といいます。嚥下障害の症状は、 「食べにくい」「飲み込めない」「むせやすい」などであり、これらの自覚がなくても食後に痰が増える、あとで熱を出すなどの症状が出現する場合がありま す。嚥下障害になると食物を摂取できなくなったり(脱水症・栄養不良)、食物が気道へ入る(誤嚥)ことで身体に重大な影響を引き起こすこととなります。も うひとつ忘れてはならないことに、食べる楽しみが喪失してしまいます。嚥下障害の原因はさまざまですが、脳血管障害やパーキンソン病などの神経難病、薬の 副作用などがあります。また、加齢に伴う嚥下機能の低下も原因のひとつとなります。嚥下障害は評価を正確に行うことが重要であり、いつ、どんなふうに、ど のようにして嚥下障害が発生しているかを見極める必要があります。治療は主に誤嚥に対するものとなりますが、重症度にあわせて誤嚥する確立が高い場合は、 食物を用いず低下した嚥下機能に関する筋の強化や強調運動(主に頚部、口腔)の訓練を行う基礎的な嚥下訓練を施行し、誤嚥が食物の形態の調節(水分でムセ る場合にはトロミをつける、口の状態や噛む力に応じて大きさや硬さを変えるなど)や姿勢の調節などによって回避される場合は、食物を用いて訓練を施行しま す。


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